アメリカ英語とイギリス英語:製薬・医学分野ではこんな違いがあります

こんにちは。

今日は、アメリカ英語とイギリス英語の違いについて、製薬業界に関連することを中心に取り上げてみようと思います。

前回、メールや手紙の結びに使われる言葉が、アメリカ英語(Sincerely yours)とイギリス英語(Yours sincerely)で異なるというお話をしました。

日本人が学校教育で習う英語は基本的にアメリカ英語なので、私たちは知らず知らずのうちにアメリカ英語を習得していますが、イギリス英語との違いは実は多くあります。

「そんなの初心者にはどちらでも良い」「アメリカ英語が主流なんだから、アメリカ英語だけ知っていればいいんじゃないか」と思われるかもしれませんが、医学関連の英語では意外なところでイギリス英語が使われている場合もあり、知っておいて損はありません。

また、外資系の会社でイギリスやヨーロッパ系の会社ではイギリス英語がスタンダードになっている可能性もあり、就職・転職する場合に、役立つ可能性もありますよ。

 

スペルの違い

製薬業界が関連する用語で、イギリス英語のスペルが使われている例の筆頭として、「厚生労働省(Ministry of Health, Labour and Welfare)」がありますね。アメリカ英語のLaborに対して、イギリス英語ではLabouruが入ります。

Wordのスペルチェック機能はアメリカ英語がスタンダードになっていますので、Labourと入力すると赤線のエラーが出てしまうのですが、これが正しいつづりです。

スペルの違いには、いくつかルールがあります。

●上記の「labour」と同様に、「color」は、イギリス英語では「colour」となります。「カラーの図表」などのように、ビジネスや医学論文などでも頻繁に使われる単語ですね。

●「center」は、イギリス英語では「centre」となります。これは、病院名などでたまに見られますが、イギリス英語を採用しているためですので、誤って「center」に訂正しないようにしてください。

●論文や学会で頻繁に使われる下記の単語も、アメリカ英語とイギリス英語でスペルが異なります。

「ランダム化する」:randomize (アメリカ英語)   randomize (イギリス英語)

「分析する」: analyze (アメリカ英語)  analyse(イギリス英語)

 

●疾患名もアメリカ英語とイギリス英語でスペルが異なるものが多くあります。

「貧血」:anemia (アメリカ英語) anaemia (イギリス英語)

「白血病」:leukemia(アメリカ英語) leukaemia(イギリス英語)

「食道炎」:esophagitis(アメリカ英語)  oesophagitis(イギリス英語)

「下痢」:diarrhea (アメリカ英語) diarrhoea(イギリス英語)

 

重要なことに、製薬業界で使われている国際的な医学用語集であるMedical Dictionary for Regulatory Activities(MedDra)では、イギリス英語のスペルが使われています。

このため、医薬品開発の公的な書類や論文などでは、MedDraに準じ、イギリス英語のスペルが用いられていることが多いです。

 

発音の違い

アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いとして、最も顕著なものは「t」の発音です。

アメリカ英語では「t」を「ティ」と明確に発音せず、前の単語と連結して「ラリルレロ」に近い発音になります。

 

Water ワラー

Little リロー

Not at all ノラーロー

 

日本人からすると、上記のような発音はネイティブらしく聞こえて、真似したくなるかもしれませんが、イギリス英語圏の人が聞くと奇異に聞こえる(外国人が方言を使っているような?)らしいので、やめておいた方が無難です。

ただ、アメリカ留学をしていたなどの場合でない限り、上記のような発音をする日本人は少ないかと思います。

 

これに対し、下記の発音は、多くの日本人が意識せずに行っていると思われます。

I can’t …(アイ キャント)

この「キャント」というのが、実はアメリカ英語の発音で、イギリス英語では「カント」になります。

イギリス人では、意外にこの「can’t」の発音を気にされる方が多いので、もし就職試験の面接などの場で、イギリス人が面接官となるような場合は、これを意識するだけでも印象がアップするかもしれません。

アメリカの会社に就職・転職する場合は、もちろんアメリカ英語のままでいきましょう。

 

学会や医学雑誌でもアメリカ系とイギリス系がある

海外で開催される医学学会や論文を掲載する医学雑誌にも、アメリカ英語またはイギリス英語のどちらかが採用されてます。

当然ながら、アメリカで開催される学会(「American Society of …」といった名称)では、アメリカ英語ですが、ヨーロッパの学会(「European Society of…」といった名称)ではイギリス英語が使われている場合が多いです。

また、医学雑誌はアメリカ英語が主流ですが、なかにはイギリス英語を採用している場合もあり、投稿規定(論文の書き方をまとめたもので、各雑誌のホームページで参照できる)にその旨、記載されています。

こうした雑誌に論文を投稿する場合は、論文中で使われている単語をすべてイギリス英語に統一する必要があります。

 

いかがでしたでしょうか。

海外での学会発表や雑誌に論文投稿されているドクターは、このあたりを熟知されているかと思いますので、MRの方は豆知識として知っておくと、「おっ」と思われるかもしれませんね。